好意と義務の境界線


(旧ブログからの転載記事)
今回は、好意と義務の境界線について書いてみたいと思います。
よくこんな事があります。

友人・知人:「チラシとかwebをつくりたいのだけど相談のってくれない?」
わたくし:「ほほう。」

友人・知人:「言いにくいんだけど、予算全然ないんだよ」
わたくし:「ほほう…。」
わたくし:「わかったよ。そうしたら幾らくらいなら用意できそう?それによってどんな事が出来るか決めていこうよ。」

友人・知人:「「本当悪いね。5万くらいならだせるけど…。もうかったら必ず追加でだすよ!」
わたくし:「・・・。わかった。じゃあそれで何とかしよう。その金額だと仕事の合間をぬってやるしか出来ないと思うけど構わない?」

友人・知人:「いいよ!全然それで。じっくりまつから。助かるよ。」
わたくし:「正直どのくらいのペースで仕事出来るかわからないから、時間の部分は本当に約束出来ないからね。あと、内容もある程度こちら手動でいかせてもらうけど、いいね。」

友人・知人:「全然大丈夫。全然大丈夫。もうまかせちゃうよ!」

というようなやりとりが行われ、仕事が発生する事がすごく良くあります。
同じような制作仕事をしている方には耳が痛い内容なのではないでしょうか。
同じ経験したことあるひとたくさんいると思います。

丁度、この前友人と食事していたら同じ事ですごく悩みつかれていました。

まあ、まわりくどい言い回しで表現しましたが、ようはお金ないから無料もしくは破格の値段でデザインしてくれないというような内容のオファーを平気でしてくる、友人・知人というのは後をたたないのです。

デザイナーをはじめ、ものづくりをしている人間というのは、「期待されること。」「たよりにされる。」という行為にめっぽう弱いのです。常日ごろ自分のデザインで誰かを喜ばせたいと思い、それをモチベーションにして、人間とは思えない激務にも耐えているのです。
ですから、上述のような「こまってるんだ。」「他にあてがない。」というようなシチュエーションになると、もう断るという行為は殆ど不可能になってしまいます。断るどころか「俺が(わたしが)何とかしてやろう!」という気持ちが、ふつふつとわいてきます。
そうして「まかせておいて。」という流れになってしまうのです。
ここまでなら、困っている人を助けるという意味合いで、ちょっとした美談ですよね。

んが!!!
そんなに世の中というか、人間は甘くないのです!!!
だいたいこのような仕事をうけると、典型的なパターンに陥ります。

1. 容赦ない(数えきれないくらい)デザイン修正の要請
2. 予算がないということを忘れて無理難題をおしつける
3. とどめは催促という口撃

まあ、こんなやりとりが発生します。↓↓↓
デザインをだすと……。

「もっと写真とかイラストとかバンバンつくっていれてくんない?地味だよ。」
「なんか文章変じゃない??」
「もっと○○(←一流ブランドをみて)みたいになんない?」

こんな事を発言し、

「っていうか、さすがに待たせ過ぎじゃない?仕事なんだからちゃんとやってくれないとさ。こっちも金払う訳だし。明日までに頼むよ。」
というコンボが炸裂することも多いですよね。

これ、ぶっちゃけ本当に言われた事あります。リアルですね。

仕事の合間で、ただでさえ少ない睡眠時間を削って頑張った極限の疲労状態にこのような事をいわれると、もうガックリするだけであんまり怒る気力もわいてきま せん。もう言われるがままにやるしかない状況になり、ものすごく心身を痛めつけながら何とか終わらせるのです。当然この類いの人たちは、感謝するという感情が欠如しているので納品してもお礼はいいません。お礼すら言えない人間なので、約束の追加料金なんてでるはずもありません。

そういえば、こういう仕事引き受けて、ギャラは何もだせないと泣きつかれた事がありました。軌道にのったら払うからと言われてもう3年たつ事例があります。当然釈明もないし一円も貰っていないのでした…。

終わった後、
どこでボタンを掛け違えてしまったのだろう。
そもそもお金ないから助けてくれと言われたんだよなあ。
困ってるならと思って好意でやることにしたんだよなあ。
何故感謝される行動をとっているのに文句言われなければならないのだろう。
よく図々しく催促なんてできるよなあ。
途方にくれてそんな事を悶々と考えます。
これが、好意と義務の差なんです。
相手はどんな金額だろうと対価を保証するのだから、制作者に対して意見する義務があるという感覚をもちます。制作者は、普段ならこんな金額では絶対にうけないけど、こまっているみたいだから一肌脱ごうではないかとい好意をベースに考えます。
これは絶対に埋まる事のない溝ですよね。
そりゃあ意見食い違うのは当たり前です。
どちらも正論で正解だと思う。
価値観の問題なのだと思うし、おかれている立場によるところも大きな要因といえますよね。
ならば、どうすればいいのか???

簡単です。
こういう類いのオファーを出すひととは関わらない。
仕事は受けないという事を徹底すれば良いのです。
上述の通り断るのは大変なので、関わらないというのが一番安全です。
よくみればこういう人は共通項がたくさんあるので、慣れると比較的接点をもたないのは簡単です。関わらなければ、ストレスをためながら断ったり、そんなの受けなければいいじゃん!とまわりにお説教されたりすることもなくなるんです。
長い事この仕事してきて、確信をもっていることがあります。
こういうオファーだしてくる人は、かなりの確率で確信犯なのです。
制作者の弱いところをついてきくるとても狡猾なやり口なのです。
人として持っていなければいけない大事な何かが欠落している人が多いのです。

すごい悲惨な事例だと、
さんざん作らせておいて納品してお金の話しようとしたら「払えないよ。友達なんだからこまってるの助けるのって普通じゃない?」そう言われてもみ消された友人もいました。
嘘のようで、本当にこんなことは日常茶飯事に行われています。
デザインというのは一見仕入れ等も発生しないようにみえるので、価格も含めてたたきやすいんでしょうね

残念ながら、好意と義務の溝はうまりません。

己を守るのは己のみ。

断る事も誠意のひとつ。

苦しんでいる制作者の方には、是非この言葉を知って頂いて、大切なクリエイティブタイムを守ってほしいと思います。


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